とにかく長い(時間にして143分)映画でした。
でも見続けることはそんなに苦にはなりません。
なにせ創世記からモーセの十戒までの話が網羅されているのだから、
そりゃあいろんなことが起こります。なのでぼーっとしている隙はありません。
わたしはもっと安っぽい映画を想像していたのですが、全然そんなことはありませんでした。
むしろ、ものすごく凝っていて美しい映像ばかりです。
ドラマのように時々区切れて無理して話をまとめているのだな、
という感じはありましたが仕方ないと思います。
内容は聖書に結構忠実だとは思います。
台詞も、特に創世記のところはそのまま聖書のものが使われていたりします。
ただ肝心なところが、端折られている感はあったので、それがちょっと残念。
海が割れるシーンも大分あっけなかった感じがします。
やっぱり十戒だけ観るのなら、こちらの方が印象的ですね。
見ごたえはとにかくあるので観る価値はあると思います。
それに宗教の勉強にもなります。
わたしは、聖書を読んでいるとどうも物悲しくなってしまうのですけどね・・
でもこういう風に映像で観ると、改めて
数え切れないくらいの人間が生と死の受けとりを繰り返してきたことに
敬意を払いたくなります。
あまりにも重そうだから、自分がつぶれてしまいそうだと思っていた。
実際に観て、やっぱり重いことに変わりはなかった。
けれど、観てよかったと思う。
シンドラーはわたしが敬愛する杉原千畝と違ってドイツ人だ。
(※ 杉原千畝・・ユダヤ人へのビザ発給により約6千人も命をナチス・ドイツの迫害から救った外交官。詳しくはこちらのページへ→ 八百津HP/ 杉原千畝)
ドイツ人から見る戦争というものも描けていたと思う。
同じユダヤ人を助けたというのなら、
はじめは金儲けで始めたシンドラーよりも杉原千畝の方がわたしは好きだけれど。
でも最終的にはシンドラーも金より命の重みに気付く。
そして二人とも「もっと救えたのに」と嘆く。
なんだか、今、世界を嘆く人と似ている気がした。
結局世界平和というのはどこまで追い求めてもきりがない。
けれど追い求めることに意味がないとは決して思わない。
戦争は人間の悪をとことん暴く。
こういうのを見ると、今「命は大切」と謳っている人たちと、
人を殺しまくって快楽を覚える人と、どっちが人間なのかと思ってしまう。
けど・・たぶん、どっちも人間なんだろう。
そして、また、映画の中で出てくるように、
罪を犯した者を許すという力、これもまた人間だからもてるのだろう。
関連ページ: ”シンドラーのリスト”の真実