わたしにとって世界は不思議だらけだ。
これ以上の『不思議の国』なんて存在するのかと思うくらい。
気づき始めたら早かった。
なんで物が見えるんだろう、から始まって、
なんでコーヒーカップに触れているといえるんだろうと思い、
わたしが見ているこの世界が本当の世界なんてどうしていえるのか、と考え、
そしてついに答えにいきついた。真実なんてわかりっこない。
この過程を導いたのは、ひとつに哲学的な考え方があるが、
もっと強力なのは、脳や神経、認知に対する科学的な興味だったのだと思う。
最近はこのことをずっと忘れていたけれど、
この本を読んで改めてこういう過程を考えるときのあの感覚、
深い深い穴に落ちてしまったあの感覚を思い出した。
タイトルは、『脳は眠らない』だ。
夢と脳の関係の、最先端の研究と過去の研究を初心者にわかりやすくまとめている本だ。
皆さんには退屈かもしれないけれど、
このブログはわたしのメモ、ということで、印象に残った部分を次回の記事で長々と引用しておこうと思う。
興味ある人は読んでみてね。
P35
日照など環境からの刺激が少なくとも体内時計は「25時間の周期で」一日のリズムを刻み、起床と睡眠のサインを出しているが、年齢によってこの周期は変わるようだ。
思春期には、必要な睡眠時間が8時間から10時間に増えるだけでなく、眠気を感じる時間が遅くなり、そのために朝寝坊になる。
P36
猫の脳の特定の部位、レム睡眠中に筋肉を弛緩させる部位を手術で切除したのだ。
すると、レム睡眠中の猫は、ぐっすり眠ったじょうたいのまま、起き上がって夢の中に出てきた獲物を狙ったり、敵を攻撃したりした。
この追跡行動の真似事は、時には3分ほど続き、その間猫はまったく目を覚まさなかった。
このことから、レム睡眠は生存のために必要な行動イメージの練習に役立っていると、ジュヴェは考えた。
//『マトリックス』の中で、シュミレーションでカンフーをやるシーンがある。あれも脳の中でのイメージ練習だ
P41
「自分たちの目の後ろに驚くべき神秘があるのに、宇宙の神秘に気をとられているなんでばかげていると、私は思った。」と、J・アラン・ボブソンはメイン州の湖畔で過ごした10台の夏を振り返る。
「わたしを魅了してやまないのは、広大な宇宙のイメージを作り上げ、さらにはそのイメージにロマンティックな感情まで抱く心の動きだった。」
P47
ボブソンとマッカーリーによれば、自分が夢を見ていることに気づくには、判断力が働かなければならないが、夢を見ているときにはこうした判断力や、夢の内容を性格に記憶する能力は低下している。
なぜなら、とりもなおさずレム睡眠中には、判断や記憶に必要な2つの神経伝達物質が不足しているからだ。
つまり、私たちが夢を忘れてしまうのは、記憶に必要な神経伝達物質が足りないからで、フロイトが言うように、自己検閲の意識が強く働いて、タブーとされる欲望を制圧しようとするからではないというのだ。
P53
意識のあらゆる状態はそれぞれの地点でのニューロンの活動で完全に説明できると考えていた。
ボブソンに言わせれば、物質を超越した”心”などというものは存在しない。
P59
アントロバスによると、人は普段よりも寝坊したときに、非常に鮮やかな、記憶に残る夢を見て、他人にその夢の内容を話す傾向がある。
アントロバスはこうした夢を”スーパードリーム”と名づけた。
スーパードリームを見るのは、体内時計の刻む時間が書く政治に近づいているときで、脳内の多くの領域が活性化されつつある。
この時間帯の夢の報告は、レム睡眠中カノンレム睡眠中かを問わず、普通の夢よりも明るく鮮明な視覚的イメージを伴い、普通の夢よりも詳細で長い。
『夢がレム睡眠のみに関連したものなら、こういう現象は起きないはずだ』とアントロバスは述べている。
P86
ソームズの患者の一人に自動車事故で前脳基底核に損傷を受けた31歳の男性がいた。
この男性は、より鮮やかな夢を見るようになったばかりか、恐ろしい夢から覚めて、めざめたはずなのに、まだ夢が続いているという、まさしく悪夢のような体験をするようになった。
p118
「人間の夢は、行動戦略を設定したり、修正したり、参照したりする、乳幼児期から行われているニューロン活動をのぞき見る窓のようなものだ」と、ウィンソンは述べている。
p119
ウィンソンの仮説をふまえて、レポンスオは次のように述べている。
人間の夢は、恐ろしい出来事を安全な状況で趣味レートする手段として進化した。いわば睡眠中の脳が作り出すバーチャルリアリティー(仮想現実)である。
ホモサピエンスやその祖先が何十万年にもわたって狩猟採集生活をしてきた有史時代(このような時代が人類の進化の歴史の99%を閉める)には、人々の生存を脅かすさまざまな危険に日々遭遇していた。
P121
ウィンソンによれば、夢は覚えておくものとして作られていない。私たちが夢を思い出すのは、本当は見てはいけないオフライン状態の脳をちらっとのぞきみるようなものだ。
・・・人間は言葉を持っているから、夢に見た出来事と覚醒時に起きた出来事の記憶を区別できる。
・・・「たとえばあなたの猫が、隣家の獰猛な犬が死んで、代わりにねずみが買われているという夢を見たとする。目が覚めたときに、猫がその夢を覚えていたら、どうなるか。夢を走らず、猫はご馳走があると思ってフェンスを飛び越える。そこに待ち受けているのは凶暴な犬だ」
P134
神経学者のアントニオ・ダマイオがその著書『無意識の脳 自己意識の脳』で述べているように、「私たちの脳には、たとえばハンマーという見出しがあって、その跡にハンマーとは何かをきちんと説明した辞書のような定義が書かれているわけではない」。
そうではなく、ハンマーにまつわるこれまでの経験がばらばらに記憶されているのだ。
//だから夢が支離滅裂なストーリーになる
続く・・・
この記事にトラックバックする