ある朝、突然届いた小包。
その中には、かつての教え子が書きためた15冊の日記が入っていた。
彼は「先生にこの日記を送って」と遺言し、この世を去っていたのだった。
「なぜ私に?」と思いつつ、ページをめくる筆者が知った衝撃の事実とは...。
感想は以下。
これは真実の物語だそうだ。
読んでいて、あぁ、確かにそうかも、と思った。
この主人公ヴィンセントの必死に生きる姿があまりにも生生しかったから。
ヴィンセントはゲイだ。エイズになって、早死にしてしまった。
最終的にこの先生が辿り着いた「なぜ私に?」という答は、
ヴィンセントが先生に、言葉にならない感覚的な共感を覚えていたからだということになる。
それは人間の種類とでもいうのかな。
先生は「死の接し方」に対して何か違和感を覚えていた。
ヴィンセントはそんな彼女に、
「死者を心の中によみがえらすためには、
まず一度その人を心の中で埋葬しなくてはならない」
という贈り物をしてくれたのだった。
そしてヴィンセントが彼女に小包を送った目的とは、
ありのままの自分を心の中で生かしておいてほしい、
ということだったのだろう。
綺麗に飾られた自分ではなくありのままの彼でいるためには
誰かに洗いざらい短所も長所もすべてをさらけ出す必要があったのだ。
その役に回されたのが先生だった。
そして彼は、自分を物語の主人公のようにして何回も再生することを望んでいる。
それなら彼は何回だって読者の心の中で生きることができるからだ。
最強の方法だ!!
でも・・・彼はまさか、日本の田舎の女の子にまで読まれることを想像していただろうか?
今頃驚いているかもしれない。
一体どれほどの人が、彼の影を追いかけていったのだろうか。
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