*引用メモ*
p28
「あなたは自分をロボットだと言うけど、ふつうの人よりずっと優しいよ」
フリーダ・カーロの絵を見ていると、夜中の洗面所で黒い鏡をのぞきこんでいるような気持ちになる。
「・・・未熟児で生まれてくる子たちは、あっちのことをよおく覚えている。大人が忘れたことを教えるために、命がけで生まれてくる。まあ、ありがたい子たちさ」
「うん。だって、なんだって、何でもなれるんだよ。最初はみんな同じものだったんだ。だから、なんだって、なりなさいって教えてあげれば何にだってなれるの。あの子たちは、自分が何になるかわからなくなってしまったの。時どき、そういうことがあるの。だから、花になりなさいって教えてあげた。元に戻るのは難しそうだったから」
白いきれいな骨だった。「毒は花が吸ってしまったんだろう」
夏の終りに、マナちゃんが車に轢かれて死んだ。その道は三叉路で、事故の多い場所だった。マナちゃんの死を町の人たちが悼んで、一本の木が植えられた。それはしだれ桜の樹で、春になるとたいそう可愛いかんざしのような花を咲かせた。この道の事故はめっきりなくなった。
写真と言うのはあなたの光によって転写された像なんですよ。もし、あなたの暗い思念が転写されて増殖したら、きっとあなたは自分のゾンビによって苦しめられるでしょうね。
始まりは一つだ。この世界のすべてのものは最初は一つだった。そこから枝分かれしていった。石も、草も、水も、人間も、最初は同じものだった。魂はそうして枝分かれしていったものが、寄りあったり、分かれたりしているものの一つだ。だが、人間は言葉を持ったので、言葉を持つもの同士で寄りあうようになり、言葉を持たぬものとは交わらなくなった。」
「帯は人間の丹田の部分を保護しているのです。最も邪気の攻撃を受けやすい、邪気を吸い取りやすい部分を帯がシールドしているのですよ」・・・
「帯締めも、魔よけです。独特の結び方をしますね。あれは熨斗袋の熨斗と同じことです。人間に熨斗をかけるのが帯締めで、最高の魔よけです」
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